2026年11月6日(金)公開の映画『星の教室』。ひと足早く、試写会で観てきました。
観終わったとき、心に浮かんだのは「いい映画を観たなあ」という、まっすぐな気持ちでした。そして「私も、前を向こう」と思えたのです。公開前のいま、この映画の魅力を少しでもお伝えできたらうれしいです。
試写会の会場は大きなホール
会場は映画館ではなく、一橋ビル3階のホール。1,000席を超える広い客席が、ほぼ埋まっていました。
見渡すと白髪まじりの方が多く、私と同世代か、もう少し上の方々がたくさん。もちろん若い方の姿もありました。

『星の教室』はこんな映画
舞台は、もう一度学びたいと願う人たちが通う「夜間中学」。原作は高田郁さんの小説『星の教室』、監督は中川龍太郎さん、総監督は角川春樹さんです。
桜田ひよりさん、仙道敦子さん、萩原聖人さんをはじめ、中尾ミエさん、浅野温子さん、山本學さんなど、私たち世代になじみ深い俳優さんたちも出演されています。
挿入歌は坂本九さんの「見上げてごらん夜の星を」。主題歌は、同じ曲を新しい学校のリーダーズが歌っています。

世代も、国も、勉強のでき不出来も超えた教室
夜間中学に通うのは、戦中生まれで、時代の事情から学校に通えなかった方々。そして、日本で暮らしていくために日本語を学ぶ必要がある、外国から来た方々。それぞれの理由で学ぶ機会がなかった人、いま学ばなければならない人たちです。そこへ、二十歳の女の子が通うことになります。
世代も、生まれた国も、勉強のでき不出来も超えて、みんなが同じ教室に座っている。その光景が、なんとも言えずあたたかいのです。
いじめにあう娘と、どうしても学校へ行ってほしい母親。そして、二人の間でオロオロする父親。観ながら「どうして娘の気持ちをわかってあげないの」と、母親にイラッとしてしまう場面もありました。でも、きっと親は親で、子育てに必死だったのだろうとも思うのです。
若い人の悩みは、本人にとってはとてつもなく大きなもの。そのすぐ隣に、戦争のさなかで想像を絶する経験をしてきた高齢の方々がいます。忘れようもなく、忘れられるはずもない体験を胸にしまったまま、それでも学びに来ている。そして、その方々こそが、戦後の日本を支え、つくり上げてきた人たちでもあるのです。
素直な気持ちで観られたのは「素顔」だったから
上映中、私はずっと素直な気持ちで画面を観ていました。
それはきっと、出演者のみなさんが「素顔」で出ていたからだと思います。もちろん、みなさん俳優さんです。けれど、きれいに見せることよりも、つくりものの虚構を演じるのではないものを、つくっている。そんな雰囲気が、スクリーンからまっすぐ伝わってきました。
観ている側も、それを感じ取ったのだと思います。だからこそ、肩の力を抜いて、物語の中に入っていけたのでしょう。
夜空を見上げて、口ずさみながら
最後に流れる「見上げてごらん夜の星を」。この歌声が、映画のすべてと、会場にいる観客の気持ちを、ひとつにしてくれたように感じました。
劇中で聴く坂本九さんの歌声。そしてラストで心に響く女性の歌声。それぞれの声が耳から離れず、心地よさと、せつなさとを抱えて帰路につきました。
きっと会場にいたみなさんも、帰り道には夜空を見上げて、この歌を口ずさみながら、目に涙を浮かべて帰っていったのではないでしょうか。
生きることは、学ぶこと
この映画は、一人の女の子の変化だけを描いた物語ではありません。教室に集う人、彼女を見守る人、一人ひとりの姿が丁寧に描かれています。
資格を取るという、しっかりとした目標を持っている同級生。教育を受ける機会すらなかった戦中世代の方々。日本に来たばかりで、ここで生活していくために日本語を学びたい、学ばなければならない外国の方々。そんな人たちと一緒に、彼女の学校生活が始まります。
そして、アルバイト先の店長さんの、あたたかい見守りとさりげないフォロー。大きなけんかをしてしまった母親との関係も、学校の行事をきっかけに、思いがけないかたちで動き出します。そこにも、店長さんの存在がありました。
夜間中学の先生方の、やさしくて的確な指導。まわりの大人たちのまなざしにも、何度も胸が熱くなりました。
なかでも心に残ったのは、彼女が入学を決意する場面です。先生(真木よう子さん)が、彼女のことを「嫌なことを嫌だと言える強い子」だと褒めるのです。本人が短所だと思っているかもしれないところを、長所として見抜いて言葉にする。先生というのは、ほんとうに生徒の良さを的確に見抜けるのだなあと感心した、いい場面でした。
観終わって、心に残った言葉があります。
生きることは、学ぶこと。
何よりの学びは、人との出会い。
何歳からでも、学ぶことはできる。そして、人と出会うことそのものが学びになる。あら還のいまだからこそ、まっすぐ心に届く映画でした。
11月6日(金)全国公開です
同世代のお友だちと、あるいはお子さんやお孫さんと一緒に。世代を超えて観てほしい一本です。
観終わったら、ぜひ夜空を見上げてみてください。
原作の小説はこちら
映画を観て、原作も読んでみたくなりました。高田郁さんの『星の教室』(角川春樹事務所)です。

