十二国記『風の万里 黎明の空』。応援できないと思った少女たちが、助けること、学ぶことの大切さを教えてくれた

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【ご注意】この記事は、物語の設定(出版社の紹介文で明かされている範囲)と、登場人物への私の受け止め方に触れています。下巻の展開や結末のくわしい内容には触れていません。

小野不由美さんの十二国記シリーズ『風の万里 黎明の空(ふうのばんり れいめいのそら)』を、上下巻ともAudibleで聴き終えました。

シリーズのEpisode 4です。これまでの3作とは、聴いているときの自分の気持ちがまったく違う作品でした。

どんなお話?

主人公は、立場の違う三人の少女です。

  • 陽子……『月の影 影の海』の主人公。慶国の女王となったものの、役割を果たせず、人々の信頼を得られずに苦しんでいます。
  • 祥瓊(しょうけい)……芳国の王の娘。父の王が殺され、平穏な暮らしと立場を失いました。
  • 鈴(すず)……日本から異国の才国に流れ着き、過酷な境遇にある少女です。

それぞれに困難を抱えた三人が、葛藤や嫉妬、うらやむ気持ちを抱えながら、歩み出していきます。

今回は、応援する気になれなかった

これまでの作品では、日本を離れて大変な目にあう主人公に同情し、応援しながら聴いてきました。

ところが今回は、ちょっと違いました。

祥瓊も鈴も、過酷な境遇にあるのはわかります。けれど二人とも、自分から何かを学ぼうとはしません。「私は何も悪くないのに、かわいそうな目にあっている」と思い込み、同じ年ごろでのほほんと暮らしているように見える女王をうらやんでいるのです。

そうそううまくいくものではない。相当なお灸をすえられないと、この二人は変わらないのではないか。そう思いながら上巻を聴き進めました。

これまでの国王の名前が出てきて

一方で、うれしいこともありました。これまでの作品で知った国王たちの名前が出てきて、ばらばらだった物語がつながり始めたのです。

シリーズを順番に聴いてきたからこそ味わえる、十二国記ならではの楽しみだと思います。

荒れた国の怖さに、心が痛む

下巻では、同じ年ごろの女王に会いに行こうとする二人の思惑が気に入らないまま、聴き進めました。

けれど、それ以上に心に迫ってきたのは、荒れた国の姿です。腐敗した役人たちと、その支配のしかた。それは恐怖でしかなく、聴いていて心が痛みました。

そんな中で、世の中をよく知らない三人の少女が、それぞれ自分の目指すもののために、どう進んでいくのか。目が離せませんでした。

目の前で見ているような争いの描写

とにかく、争いの場面にはハラハラさせられました。

大勢の人が、国をかけて戦う。その戦い方の描写が、とても細かくて丁寧なのです。まるで目の前で見ているように場面が浮かんできて、本当に怖くなるほどの迫力でした。

人のため、民のために立つことの難しさ

聴き終えて心に残ったのは、力を合わせることの大切さでした。

人のため、民のためを考えるという大きな視点に立つ。国の上に立つ者の難しさは、私には想像を絶するものがあります。

だからこそ、信頼できる人を一人でも多く周りに持つこと。そして、学ぶことをやめないこと。その大切さを、あらためて感じさせてくれる物語でした。上巻で「自分から学ぼうとしない」と感じた少女たちの物語だからこそ、なおさら心にしみたのだと思います。

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